そろばんを暗算から始めるのはどうですかね

なぜそろばんは生き残っているのだろうか、と考えていたら、驚きの数値を見つけました。

世界中のそろばん人口は1000万人を超える、というのです。
因みに、日本のそろばん人口は60万人だそうです。

実務用としてのそろばんは消えた

私の母はそろばんを得意としていました。今ではあまり見ない五つ玉のそろばんでした。
そして、50年ほど前、私が大学卒業するころには、四則演算は電卓の時代になりつつありました。
でも、関数電卓はまだ見かけなかったかと記憶しております。そして、卒業後まもなく計算尺の時代は完全に終わりました。

社会に出て入社したての頃はそろばんを使う人がいましたが、徐々に減っていき電卓の天下になりました。
そんな時、そろばんは消えていくんだろうな、と思っていました。

今、パソコンの普及で、電卓のキーではなくパソコンのキーボードを叩くといった光景にかわり、電卓も大幅に減ってきています。会社ではそろばんも電卓もほとんど消えました。

しかしながら、50年前の私の予想に反して、そろばんはまだ生き残っています。

日本でのそろばんの活路

文科省の学習指導要領「生きる力」の算数の節に「そろばんを用いて,加法及び減法の計算ができるようにする。」とあります。3年生と4年生でそろばん授業をすることになっているんですね。尚、足算と引算のみであり、掛算・割算は指導要領での記載はありません。

指導要領のこの算数の節にはその目標として「算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き,進んで生活や学習に活用しようとする態度を育てる。」とあります。
そのTOOLとしてそろばんが選ばれているのなぜでしょうかね。
歴史的には「読み書きそろばん」の流れはありますが…

実際のそろばん学習の有用性を調べてみると、
・算数嫌いの子供たちが減る
・計算力だけではなく、集中力/継続力などの能力の開花/成長を促す
・右脳開発と脳の活性化
などの記載がありました。

いずれにしても日本で、そろばんが生き残っているのは文科省の学習指導要領が元ですね。

海外では「暗算オリンピック」

一方、既に書いたように世界では1000万人を超えるそろばん人口があり、「暗算オリンピック」という世界大会もあるほど拡がっているようです。
日本と海外では、そろばん教室の目標には大きな違いがあるようです。
日本は珠算検定の合格を目指すことが主です。そして「その検定の過程で自然に暗算力が身に付く」という考え方です。実際には、私がそろばんを習った頃、3級前後の合格で止める人が多く暗算の習得には至っていない人がほとんどでした。

海外では最初から「暗算力を身に付ける、右脳を鍛える、同時に算数・数学に応用する」という目的です。検定結果ではないんです。(もともと検定制度はないと思いますが・・・)
右脳トレーニングが主であるので、片手ではなく両手でそろばんの珠をはじくことで左右の脳をバランス良く刺激できるそうです。
そろばんに珠を配置した状態を「絵」として捉え、数を記憶するのではなく「絵」を記憶する。
その「絵」の変化で暗算をしていく。

このように右脳トレーニングして暗算ができるようになる。これをそろばんを習い始めた時から進めることを普通のことにすれば良い、と思います。

多分、出来る子と出来ない子がでてしまうでしょう。これを教育上「否」とするならできないでしょう。出来ない子は違う暗記法へ導くことで「良」とすれば良いと考えますが……
暗算ではなく記憶力を身に付けたいならば、そろばんに拘る必要はなく、他にも記憶力のトレーニング方法はありますよね。


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