為替と賃金
国家公務員の初任給と円レートの推移で見る円安のススメ

最近、円安とか賃金アップとかが話題になっています。

ところで、今のドル円レートはというと114円/ドルであります。これって円安ですかね。国際決済銀行(BIS)などのデータによると、円の実質実効為替レートは足元で1970年代前半の水準まで低下しており、その意味では50年ぶりの円安とも言えるから、円安なんだそうです。
私が就職した45年前、初任給の5〜6倍位で軽四車両が買えた。今も同じような気がしますが、同じだとすると、確か に円の価値は下がっていますね。そして、額面は上がっていますが、初任給の価値は当時も今もあまり変わらない、ということですね。実質賃金は45年間変わっていない、ということですかね。尚、その時のレートは300円/ドル前後です。

ここでは円の価値がどうこうではなく、単純に、ドル円レートと初任給の関係を考えてみます。

過去40年の円レートと初任給を振り返ってみます

ここで円レートと大卒国家公務員初任給を1980年から5年毎で振り返ってみます。
第2次オイルショックのころからです。

円レートと初任給の推移(5年毎)

1995年以降の初任給はほぼ横ばい状態です。
当然ですが、これは私の景気の実感と一致しています。失われた20年、30年と言われるところです。
2000年のころはすでに十分円高で、輸出企業は低賃金を求めて中国等の海外進出が拡大し、国内産業の空洞化が騒がれ始めていました。
国内では、企業側も低賃金を狙って非正規社員の枠を増やします。賃金の変動費化を狙っていますね。

1995年と2005年を単純に比較すると初任給は下がっていますね。
この10年間は結局マイナス成長です。

110円/ドルでは、賃金は上がらない、ということです。

2010年ごろは100円/ドルを切る超円高が定着します。(民主党政権時です。)
家電の象徴であったテレビ産業が崩壊し始めます。

2004年からソニーとサムソンが液晶パネルを合弁で作っていたかと思います。
ソニーの油断でしたかね。その余裕が仇となりました。
技術を盗まれた上、この円高では価格競争力は全くありません。
今では、パネル自身は韓国からの輸入品です。
シャープも外資になってしまいました。テレビから撤退した企業もあります。
本当に、この超円高を無傷で乗り越えた企業はないのではないでしょうか。

100円以下/ドルでは国内で生産活動できない、ということです。

バブル期からバブル崩壊後の5年間を見てみる

賃金アップできる適正なドル円レートはいくらか?
注目はバブル期からバブル崩壊後までです。
1990年から1995年までを各年で見てみます。

円レートと初任給の推移(バブル期〜5年間の各年)

明らかにドル円レートが130円を切った1992年の翌年1993年から、初任給の伸びしろは低下しています。しかし、ぎりぎり伸びています。
130/ドルで、賃金の伸び代は小さいが伸びる、ということです。
多分このレートは、会社は潤い社員も少し潤う、という閾値ではないか、と思われる。

そして、1994年以降から初任給の成長はほぼ止まっています。
そういえば、1991年の末ごろからバブルの勢いはもう無かった、と記憶しています。
残業規制が急に強まった記憶があります。

バブル期の145円/ドルは成長を感じられたが、134円/ドルでは成長を感じられない。
ここで言いたいことは単純です。
ドル円レートを今より円安にしましょう。最低でも130円/ドル以上目標です

目標は150円/ドルと言いたいところですが、あまりやり過ぎると、インフレ率が高くなり過ぎますので、先ずは130円/ドル以上とし、様子を見ながら150円/ドルを目指しましょう。
130円/ドル以上が賃金アップの基礎です。
円安政策を賃金アップの原資としましょう。

他への影響を少し考察

例えば、
売価(ドルベース)={(素材費+加工費+販管費等+人件費)+利益}➗(ドル円レート)
とします。
ドル円レートを今の114円から130円にしたとすると、14%の円安です。
単純計算ですが、
輸入が主の素材費は上がりますが、加工費や販管費はあまり変わらないと仮定します。
人件費を14%UPしてもドルベースでは輸出価格は下がることになります。
輸出競争力が上がって賃金アップできます。

実際には、国内価格が急激にUP(インフレ)し過ぎるのでドル/円は3年計画で、毎年5%UP程度ですかね。
でも人件費は上げれるのです。
この場合、個人はドルベースでは収入減ですが、国内生活面では賃金も上がるしあまり影響ないですよね。
海外旅行の回数が少し減りますが、高級輸入品を買うような人にも影響はないでしょう。
ドルベースでの輸入額も輸出額も変えなければ貿易収支は変わらないことになります。

あと、海外からの観光客は増えるはずですので、観光業にもあまり影響はないですね。
輸出数量が増えて、貿易黒字が大きくなりUSAから苦情がきますかね。
輸出量を増やし過ぎないように注意が必要ですね、バブル崩壊の反省が必要です。
アメリカから輸入できるものは高くても、アメリカからの輸入を増やしましょう。
以上経済ど素人のひとりごとでした。


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